金型の加工変質層の除去・表面改質処理

金型製作をする上での加工手法として、マシニングセンタでの切削加工、研削盤での研削加工、放電加工、ワイヤーカット放電加工などの加工方法が用いられます。

しかし、加工後の表面はツールマークやカッターマークと呼ばれる加工痕による微細な加工バリやカエリ、白層と呼ばれる脆弱な溶融再凝固層、方向性のある研削目、マイクロクラックなど様々な加工変質層が発生しています。
この加工変質層が、金型の破損の原因となって金型寿命低下をまねいたり、成形時に樹脂流れや離型性を悪くするなどの悪影響を及ぼすため、事前に加工変質層を除去する必要があります。

【マシニングセンタでの機械加工後の面】
【放電加工後の面】
【研削加工後の面】

1. 切削加工後の加工変質層の改善

マシニングセンタやNCフライス盤などでの切削加工面には、加工によって材質が変化した加工変質層及び残留ひずみが発生致します。これを残したままにしておくと成形品への転写、離型性の悪化、クラックの発生源となって金型の早期破損につながるなどの多くの悪影響があります。
金型表面改質処理では、ツールマークを除去するだけでなく、有意な寸法変化なく加工前より粗さを低減致します。

切削加工面 加工例 (エンドミル送りピッチ 0.05mm)

【切削加工後の表面(×100)】
切削加工後の粗さ:Ra 0.2730μm
【表面改質処理後(×100)】
表面改質後の粗さ:Ra 0.0976μm

切削加工面 加工例 (エンドミル送りピッチ 0.03mm)

【切削加工後の表面(×100)】
切削加工後の粗さ:Ra 0.2167μm
【表面改質処理後(×100)】
表面改質後の粗さ:Ra 0.0842μm

    切削加工面への表面改質処理の効果

  • ツールマークやマイクロクラックの除去
  • 表面粗さを低減し、磨き時間短縮
  • 圧縮応力を付与し、金型の耐久性の向上
  • 手磨きでは難しい微細なスリットやコーナーも処理

表面改質処理の対象は、金型だけではありません。

チップやエンドミルなどの切削工具の刃先に表面改質処理をすることで、切粉の排出をスムーズにしたり、工具への凝着を抑えることが可能です。その結果として工具への処理前後で、工具の長寿命化や被加工物の表面粗さの低減を実現致します。

エンドミルへの表面改質前後の仕上がり面 (材質:アルミ)

【通常のエンドミルでの加工面】(×400)粗さ数値 Ra :0.11~0.16 μm
【表面改質処理後のエンドミルでの加工面】(×400)粗さ数値 Ra :0.06~0.08 μm

エンドミルへの表面改質処理で、表面粗さが40~50%低減。
切削工具と金型の両方に表面改質処理を行うのが効果的!

2. 放電加工後の加工変質層の改善

形彫り放電加工及びワイヤ放電加工した金型表面には、局部的な溶融再凝固による引張応力、脆弱な白層、微細空孔、マイクロクラックなどの多くの欠陥が存在します。
この加工変質層がクラックの破損の起点となり、金型寿命を短くしてしまうことがあるため、確実に除去しておく必要があります。

金型表面改質処理では、上記の様々な加工変質層を除去した上で、金型の耐久性や離型性を向上させた機能を付与します。
また、この処理では手磨きでは作業性の悪い微細なスリット部やコーナーの加工変質層の除去や平滑化が出来るため、金型仕上げ時間の大幅な短縮が可能です。

【放電加工面】
【表面改質処理後】

放電加工面 加工例

(×100)
(×100)
【放電加工面】
放電加工面の粗さ
Ra1.0929μm
【表面改質処理後】
表面改質後の粗さ
Ra0.6857μm
【放電加工面】
放電加工面の粗さ
Ra0.7613μm
【表面改質処理後】
表面改質後の粗さ
Ra0.2660μm

    放電加工面への表面改質処理の効果

  • 白層、微細空孔、マイクロクラックなどの加工変質層の除去
  • 溶融再凝固による引張応力を圧縮応力に変え、金型の耐久性向上
  • 均一な超微細凹凸面にすることで、離型性の改善
  • 表面粗さを低減し、磨き時間短縮
  • 手磨きでは難しい微細なスリットやコーナーも処理

3. 研削加工後の加工変質層の改善

研削加工面には加工時に発生する熱によって研削焼けが発生致します。
研削焼けによる変質は、焼戻しによる軟化層の発生と最表面部分の再硬化による脆弱な白層の発生の2種類あるが、どちらも疲労強度低下の原因となり、金型の寿命を短くします。
また、研削加工面を拡大してみると、砥石の刃でこすった方向性のある研削目や微小なムシレが存在します。その方向性のある研削目や微小なムシレが抵抗となって型離れを悪くしたり、研削面の直下に発生している引張残留応力が金型損傷の起点となる場合があります。

表面改質処理ならば上記の様々な加工変質層を除去した上で、金型の耐久性や離型性を向上させた機能を付与致します。

研削加工面 加工例

サンプル品に研削加工面及び表面改質処理を実施。下記、左画像がサンプル品の全体像。
右画像が微細構造検査用のシリコンゴムにて成形品を作成したものです。

研削加工品サンプル全体像
シリコンゴムでのテスト成形品
【研削加工面】
【表面改質処理後】
【研削加工面】
【表面改質処理後】

研削加工面及び表面改質処理後の拡大画像

表面改質処理により、研削加工面に確認できる縦線の研削目を除去し、その上で耐久性及び離型性を向上させた処理実施。
光沢を残しつつ、表面の機能性を格段に向上させております。

【研削加工面(×100)】
研削加工後の粗さ:Ra 0.0789μm
【表面改質処理後(×100)】
表面改質後の粗さ:Ra 0.1159μm

    研削加工面への表面改質処理の効果

  • 白層や焼戻しによる軟化層、微小ムシレを除去し耐久性を向上
  • 研削加工によって発生した引張応力を圧縮応力に変更
  • 型離れの抵抗となる方向性のある研削目を無方向性に変更
  • 均一な超微細凹凸面にすることで、離型性の改善(詳細リンク)
  • 手磨きでは難しい微細なスリットやコーナーも処理

1.不二なら何とかしてくれる!金型処理の駆け込み寺

「半年前に知りたかった」これはある大手自動車部品メーカーの生産技術課長のお言葉。色々なコーティングや表面処理を半年間試してきたけれど、どうしてもうまくいかなかった成形が当社にご相談頂いたところ、すぐに問題が解決してしまった。
これが実現できるのは、60年以上の歴史を持つブラスト装置メーカーが行う金型表面改質処理であるからであり、お客様の望む多様な加工要望に答えられる高いブラスト装置開発力とそれを裏付けるブラスト処理の経験が他社と比較して圧倒的に多い事に他なりません。

前述の自動車部品メーカー以外にも、他でうまくいかなかった成形が当社の処理でうまくいったという事例は珍しいものではありません。
他社で「これは抜けないよ」、「うまくいった試しがない」と言われたその成形、不二製作所の処理なら簡単に対応可能かもしれません。困った時こそ、お声掛けください。

2.「あれも、これもして欲しい」にお答えできます

金型を磨いてほしい、その上で樹脂流れも、離型性も、金型の耐久性も、あれもこれもして欲しいという欲張りなお客様が増えています。他社では「そんなに何もかもは出来ません」なんてお断りされたとお聞きします。しかし、不二製作所ではそんな欲張りなお客様も大歓迎です。

金型をお預け頂ければ、常時ブラスト処理が可能な装置が300台以上あり、金型を磨く処理、型離れを良くする処理、耐久性を良くする処理、お客様のあれもこれもしてほしいというご要望に同時にお応えできる設備がそろっています。

3.受託加工可能な研磨材と金型サイズ

図面に研磨材の種類や粒度の指定があるが、今まで頼んでいた外注さんに「うちはアルミナかガラスビーズしか出来ない」、「微粉を噴射出来る装置が無い」、「そんな大きな金型受けれないよ」なんて言われたことはありませんか。
当社なら、常時100種類以上の研磨材在庫を完備し、研磨材粒度についてもF16~F8000までブラスト加工可能ですので、研磨材の種類、粒度共にほとんどのご要望にお応え可能です。また、受託加工可能な金型サイズについても、手のひらサイズから8トンクラスまでお受け可能です。

普段は内製加工だけど、特別な大型品だけ依頼したい、特殊な研磨材だけ依頼したいという単発加工のご依頼も承ります。