
株式会社フルヤ様は、埼玉県狭山市に本社を構えるプラスチック射出成形加工を専門とする企業です。私たちの暮らしに身近な文房具やスポーツ用品、電化製品、化粧品容器、食品容器、さらには医療品の検査容器まで、多様なプラスチック製品の製造を手がけています。プラスチック成形のみにとどまらず、組み立てなどの二次加工、出荷までを社内で一貫し、お客様の多様なニーズに応える柔軟な生産体制を確立しています。

- 社名
- 株式会社フルヤ
- 本社
- 埼玉県狭山市笹井三丁目13番17号
- WEBページ
- http://www.furuya-mold.jp
- 事業概要
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- 樹脂成形
- 使用用途
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- スクリュー
- クリーニング
同社の強みは、高品質な少量多品種生産を実現する優れた対応力です。一般的にプラスチック射出成形は、大量生産で高効率な製造方法ですが、同社は長年培ったノウハウにより、少量多品種生産でもコストを抑えた効率的な生産が可能です。品質管理のため、工場全体をクリーンに保つ対策も徹底しています。
また、要求品質や製造工程をあらかじめ把握し、次工程まで見据えた確実な製造を実現しています。この丁寧なものづくりの姿勢が評価され、30年以上取引を継続している企業もあり、揺るぎない信頼関係の構築につながっているのです。
今回取材にご協力いただいた
担当者様
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専務取締役
古谷 脩様
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業務部 部長 1級プラスチック成形 技能士
安部様
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業務部 係長 1級プラスチック成形 技能士
今村様
パージ剤や手作業による
スクリュー洗浄の限界を超えたエアーブラスト
プラスチック射出成形における「黒点」などのコンタミ対策には、シリンダー内部のスクリューやノズルの洗浄が重要です。しかし、同社が従来行っていた黒点対策には課題がありました。洗浄用の特殊樹脂「パージ剤」は高コストで完全な洗浄が困難であり、スクリューの分解清掃はグラインダーによる手作業で行っていたため、2時間以上の清掃時間を要し、スクリューを傷つけるリスクもありました。
これらの課題を解決したのは、不二製作所のエアーブラスト(サンドブラスト)装置「ニューマ・ブラスター」です。導入により、同社ではスクリューの分解清掃時間が従来の半分以下に短縮されました。さらに、ニューマ・ブラスターは圧縮エアで硬度の低いメディア(研磨材)を噴射し、その衝撃力でクリーニングを行うので、スクリューに傷をつけることなく、誰でも簡単にスピーディーな清掃が可能です。ノズル先端などの手作業では困難な複雑形状部品の細部まで、確実なクリーニングが可能になりました。
古谷専務取締役は「チタンコーティングのスクリューもサンドブラストであれば全然問題ないので安心して使えます。手作業で傷つけながら寿命を短くしていくよりも、ニューマ・ブラスターを導入して長く使えるほうがメリットだと思いました」と導入理由を語ります。

キャビネット内

側面(長尺スクリュー挿入口)
スクリュークリーニングの様子
樹脂:PC-ASA/アロイ系(複合樹脂)
ニューマ・ブラスターは、お客様の生産体制や加工製品に合わせた専用設計のため、長尺スクリューなど様々な製品サイズに対応可能でありながら、設置スペースのご要望にもお応えしています。
素早く、確実で、安全なスクリュー洗浄で
生産を支えるニューマ・ブラスター
ニューマ・ブラスターの導入により、スクリューの分解清掃作業が簡便化されたことで、同社の生産効率は大きく向上しました。コンタミによる不良が発生した場合でも、迅速に原因を除去して安定した生産の再開が可能となっています。また、作業の安全性も飛躍的に改善されました。従来のグラインダー作業に代わり、エアーブラスト(サンドブラスト)は怪我の危険性がなく特別な技能を必要としないため、誰でも安全に作業を行えます。1級プラスチック成形技能士の資格を持つ、業務部の安部部長と今村係長は「大変で抵抗があった洗浄作業にも、今では気軽に取り組めるようになりました」と語り、従業員の安全を確保しています。
少量多品種生産を強みとする同社では、色替えや樹脂替えの際のスクリュー洗浄は品質保証の要となる重要な工程です。古谷専務取締役は「特に医療用検査容器など高品質が要求される製品において、エアーブラストによる定期的なスクリュー分解清掃は、具体的なコンタミ対策としてお客様からの信頼獲得にもつながっています」と評価しています。
このように、ニューマ・ブラスターの導入は清掃作業の効率化によって、成形機の長時間停止によるロスや不良品の検査工程増員などの非効率を解消し、同社の生産を支えています。


未来を見据えた省人化の推進
創業から約50年、同社は常に時代の変化に対応しながら、高品質な製品製造と効率的な生産体制の構築を追求してきました。同社は今後の方針として、深刻化する人手不足に対応する体制づくりのため、ロボット導入や生産ラインの自動化を進めていきたいといいます。ニューマ・ブラスターの導入によって、熟練作業者でなくても安全に清掃できるようになったことで、人材育成・省人化の面で効果を発揮しています。
同社では今後も、エアーブラスト装置を活用した不良対策を継続的に行い、製品品質の維持向上に努め、お客様の信頼をさらに強固にしていく考えです。



※掲載情報は取材当時(2024年12月)のものです。
プラスチック射出成形機の清掃と異物不良対策 –ブラストの有用性
プラスチック成形では、バリ(樹脂のはみ出し)、ショート(成形不足)、ヒケ(表面の凹み)、ウエルド(合わせ目の跡)など、様々な成形不良が発生します。
中でも、製品表面に現れる「黒点」は頻度が高い課題の一つです。その主な原因となる炭化物は、スクリューのフライト部や先端の3点セット(チェックリング、チェックシート、ノズル)に発生します。これらの部品は複雑な形状のため、溶融した成形材料が滞留しやすく、温度変化により劣化・炭化して付着します。特に成形材料の切り替えや加熱筒ヒーターの電源再投入時に剥がれ落ち、成形物に練り込まれて異物混入を引き起こします。
従来の対策としては、シリンダー内の温度管理による予防や、パージ剤による洗浄、分解清掃などのスクリューメンテナンスが行われてきました。近年、より効率的な解決策として注目されているのが、エアーブラスト(サンドブラスト)を利用した分解清掃です。圧縮空気で微細な硬度の低いメディア(研磨材)を吹き付けることで、複雑形状部品の細部まで到達し、炭化物を迅速かつ確実に除去します。
さらに、エアーブラストは金型のメンテナンスにも効果を発揮します。金型表面を傷つけることなく、付着したガス汚れや離型剤の残渣を効果的に除去できます。
成形品質の向上と作業効率の改善には、ぜひエアーブラスト(サンドブラスト)の導入をご検討ください。
関連ページ:「金型・スクリュークリーニング」