梨地仕上げ
用途・技術

美装梨地仕上げ及び機能性梨地仕上げ
梨地仕上げとは、機械的又は化学的処理によって表面に無方向の微細な凹凸を形成し、光の乱反射による柔らかな光沢や艶消し面を作り出す仕上げ方法のことです。言葉としては漆器の仕上げ技法の梨子地(なしじ)塗りに由来する果物の梨の表面を模した仕上げのことで、本来の梨が素地を残して不規則でまだらな白痕があるのに対して、工業製品としての梨地仕上げは全面を均一な凹凸で仕上げている場合が一般的です。
当ページではエアーブラスト技術によって粒径や材質の異なる様々な研磨材を噴射することで多様な仕上がりを実現する「美装梨地仕上げ」及び無方向の微細な凹凸が放熱性の向上や防眩効果、すべり性向上などとして機能する「機能性梨地仕上げ」について詳しくご説明します。
表面を粗面化することによって塗装や接着などの密着性向上を目的とした前処理に関しては下記リンクにてご紹介しております。
about 美装梨地仕上げについて

エアーブラストによる美装梨地仕上げでは研磨材の粒径や材質変えることで、ギラギラと輝く面、柔らかな光沢面、それとは逆の上品なマット面など多様に風合いが変化致します。
これに当社独自の定量安定噴射技術による処理面のカバレージコントロールやグラデーション加工を加えることで、更にデザイン性を向上させた仕上げも可能です。また、同一加工品であっても仕上げのエアーブラスト工程で全体又は部分的に研磨材の種類を変えた加工を行うことで風合いの異なる多彩なバリエーションを実現することが出来るのも特徴の一つです。
研磨材の材質や粒径による仕上がりの違い









ウェットブラストによる美装梨地仕上げ
ウェットブラストによる美装梨地仕上げは、ドライブラストで加工した時とは異なるウェットブラストならではの柔らかな艶のある独特の風合いに仕上がります。
上記でご紹介させていただいております研磨材の粒径、材質に加え、ドライブラスト及びウェットブラストでの加工を組み合わせることで仕上がりのバリエーションが更に増加致します。
また、当社では装置提案だけでなく受託加工部門にて多種多様な研磨材による試作品製作など承りますので、お気軽にお問い合わせください。
カバレージによる仕上がりの違い
LCB処理(Low Coverage blast)は、研磨材定量噴射ユニットが実現する新しい表面処理方法です。研磨材を定量噴射することで、打痕密度と打痕径をコントロールすることが可能です。また、ケミカル処理と異なり材料の種類による制約がほとんど無く、様々な材料に対応可能です。サファイア、セラミックスなど高硬度な物から樹脂材料、フィルムまで幅広く対応可能な工法です。





LCB処理
ステンレス鏡面の美しさを残した美装梨地仕上げ

グラデーション加工
濃淡を段階的に変化させていくことで曇り面から徐々に未加工(鏡面)に変化させます
case 美装梨地仕上げの加工事例と効果
浅草寺(宝蔵門)チタン瓦
東京・浅草にある「浅草寺」の屋根瓦が地震対策として重量のある土瓦から軽量なチタン製にふき替えられました。合計9万枚の土瓦をチタン瓦に変更したことで屋根の総重量が900トンから180トンに減少。美装梨地仕上げにより、土瓦の持つ独特の風合いをチタンでも違和感なく表現しております。


溶接部品
ステンレス溶接部品に対してエアーブラストでの美装梨地仕上げすることで、焼け取りと同時に美観の向上がはかれます。また仕上げ時の研磨材を変更することで風合いの異なるバリエーションを実現しております。


鍛造プレス部品
鍛造プレス部品の傷消しや機械加工部分との境界面の緩和、外観向上が目的です。


タンブラー
ステンレスタンブラーを美装梨地仕上げすることで、手触りが良く、指紋も目立ちにくい、高級感のある質感に仕上がります。また、前工程までについたキズを目立たなくすることができ、歩留まり向上にもつながります。


屋外看板

about 機能性梨地仕上げについて
機能性梨地仕上げとは、エアーブラストによって作られた無方向で微細な凹凸のある表面が、表面積の増加による放熱性の向上や光の反射抑制による防眩効果などの美観の向上以外の機能を生み出す仕上げ方法のことです。
他にも、動画ではホッパーに対して梨地仕上げ(不二製作所オリジナル技術:gemini処理)を施し、撥水(疎水)機能を付与することで水切れを良くしております。
耐摩耗性や疲労強度向上を主目的としたショットピーニングについては下記リンクにてご紹介しております。
case 機能性梨地仕上げの加工事例と効果
放熱性向上
機能性梨地仕上げによって材料表面に微細な凹凸を作ることで鏡面と比較して数倍に放熱面積が増大し、放熱性が向上致します。銅やアルミのヒートシンクなどに利用されております。


粉体のすべり性向上
粉体のすべり性を向上させた食品製造装置のシュート部になります。エアーブラスト技術による多工程表面処理(gemini処理)を行うことで、加工対象そのものにすべり性機能を付与しております。


防眩効果
測定工具の機能性梨地仕上げです。マットな仕上げにより光の反射を抑え、目盛りを読みやすくする効果があります。明るい照明の下で使用することの多い医療機器や目の近くで使用することの多いスマートフォンなども同様な仕上げが好まれます。


光の拡散
アクリル材へのフロスト加工です。アクリルやガラスへ加工することで照明の光の拡散や曇りガラスなどの用途でご利用いただいております。


磁性粉末の搬送
主にコピー機の部品として使用され、表面を均一な微細凹凸にすることでトナーの安定搬送が可能となっております。


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