プラスチック射出成形の不良対策

ブラスト加工が金型表面に作り出すナノ単位から数μmレベルの凹凸が、樹脂の流れがスムーズで、離型性も良い金型表面を作り出し、ウェルドライン、ヒケ、ショートショットなどのプラスチック射出成形の不良解決やサイクルタイム向上に寄与致します。
金型表面改質処理の原理
樹脂の流れがスムーズ | 抵抗が減って離型性が良くなる |
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金型表面に作られたナノ単位からに数μmレベルの均一な凹凸が流動樹脂と金型表面の接触を点接触にすることで、放熱面積が減ります。 また、樹脂と金型間の凹部の空気層が断熱材の役割を果たし、樹脂が固まりずらくスムーズに流れるようにし、金型全体に樹脂を充填しやすくします。 |
充填時に樹脂の流れをスムーズにした表面が、樹脂の収縮時にも同様の働きを発揮し、金型表面への貼りつきを無くします。 表面改質金型の均一で超微細な凹凸の場合、樹脂の粘性によって凹部に流れ落ちが阻害され、アンカー効果(凹凸に樹脂が入り込み食いつきを強化する)を起こしません。 |
金型改善処理によって起きる変化


![]() 離型不良、クラッキングでお困り![]() 成形品が固定側金型に残ったり、逆に可動側金型に張り付いてエジェクタピン(押出ピン)が成形品を突いて破ったり(フクレ)、ヒビなどが入り、成形品を破損(クラッキング)してしまうことです。離型時の抵抗力が大きいことが原因です。 |
![]() そり、変形でお困り![]() 平板状や箱型の成形品で発生する反り、曲がり、ねじれなどの変形です。不均一な固化や射出成形時の圧力による残留応力が原因です。 |
![]() ウェルドラインでお困り![]() 溶融樹脂の先端同士が合流する際に、樹脂温度が低くなり過ぎてしまい、既に固化が始まっていることが原因です。樹脂の合流部分にウェルドラインと呼ばれる線が残ります。 |
![]() ショートショットでお困り![]() 金型内の一部に樹脂が充填されてない状態で冷却、固化した成形品です。樹脂の流動性が悪く、金型内を流れている途中で冷却されて末端まで届く前に固化してしまったのが原因です。 |
![]() ヒケでお困り![]() 成形品の肉厚部分やリブ部に発生する表面のへこみのことです。表面と内部の不均一冷却による樹脂の収縮差が原因です。 |
![]() ボイド(気泡)でお困り![]() 成形品の肉厚部分に発生する空洞のことです。成形品の肉厚部での表面と内部の不均一冷却による樹脂の収縮差が原因です。剛性の高いプラスチックの場合に、表面変形のヒケでなく、ボイドが出来ます。 |
![]() 光沢不良でお困り![]() 成形品表面が曇ってしまい光沢や透明感が充分でない状態です。金型の表面粗さが大きい、もしくは不均一で、その表面が成形品に転写してしまっていることが原因です。 |
![]() 黒点、パージ剤残りでお困り![]() 射出成形機のスクリュー表面に付着して、焼けて炭化してしまった樹脂やパージ剤で清掃した時の残留パージ剤が成形品に混ざりこむことが原因です。 |

![]() 離型不良、クラッキングを解決!鏡面は、吸盤が密着してしまって、引っ張っても、前後左右にも動きません。 |
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![]() そり、変形を解決!![]() 金型表面に樹脂との摩擦抵抗を減らす処理を施すことにより、射出圧力を下げても樹脂の流れがスムーズに充填可能です。これにより射出時の残留応力が減ります。 |
![]() ウェルドラインを解決!![]() 鏡面金型と比較して、表面改質処理後の金型は、樹脂の流動性が良くなり、コアピンの周りをまわりこんで合流するまでの時間の短縮が可能なため、合流時の樹脂温度が高い状態で充填出来ます。 |
![]() ショートショットを解決!![]() 鏡面金型と比較して表面改質処理後の金型は放熱面積が少なく、凹部の空気層が断熱材の役割を果たすため、同じ成形条件でも金型末端まで充填しやすくなります。 |
![]() ヒケを解決!![]() ヒケの解決には、保持圧力を上げて、樹脂の充填量を増やすことが効果的。表面改質後の金型ならば、樹脂流れがスムーズに改善されているため、樹脂の冷却、固化前に充填密度を上げることが可能です。 |
![]() ボイド(気泡)を解決!![]() 成形品の肉厚部分付近に発生するボイドの原因と解決はヒケと同様に樹脂の充填量を増やし、密度を上げていくことが効果的(解決5参照)。 |
![]() 光沢不良を解決!![]() 金型表面を磨き上げ、表面精度を向上させることで解決する。 |
![]() 黒点、パージ剤残りを解決!スクリューに付着して炭化してしまった樹脂やパージ剤残りを完全に除去するには射出成形機の分解清掃の必要があります。 |
各種課題の改善事例
事例(1):離型不良、クラッキングの改善事例
お客様側で鏡面に仕上げた金型で成形を行っておりましたが、離型時に金型へ貼りついてしまい、エジェクタピンが成形品を変形させておりました。
表面改質処理後は、離型抵抗が減り、成形品を変形させることがなくなりました。
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事例(2):反り、偏肉の改善事例
ポリエチレン製の発煙筒ケース(φ30×110L)を成形されているお客様で、処理前は反り、偏肉が発生していました。表面改質処理後は、樹脂の流れがスムーズになり、射出圧力を下げても冷却、固化前に金型全体に樹脂が充填されるようになり、反りと偏肉が解決いたしました。
また、離型抵抗が減ったことでサイクルタイムが20%減となりました。
事例(3):ウェルドラインの改善事例
ポリカーボネイト製の家庭用製品を成形しているお客様からのご依頼です。
穴形状の後ろ側にウェルドラインが出来ていました。樹脂がコアピンの周りをまわりこんで合流する際に樹脂が既にゲル状になってしまっていたのが原因と推測。表面改質処理後は、樹脂が流れやすく、冷えにくくなったため肉眼では確認できないレベルとなりました。
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事例(4):ショートショットの改善事例
ポリカーボネイト製の800×200×H250サイズの薄型湾曲形状の自動車部品成形品金型の末端部分でショートショットが発生しておりました。
射出圧力を上げると反りなどの別の問題が発生してしまうため、金型表面改質処理を実施いたしました。樹脂の流動性の改善によってキャビティー内の充填不足のみを解消し、他の問題の発生も抑えました。
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事例(5):ボイド(気泡)の改善事例
ポリプロピレン製の半透明樹脂成形においてボイドが発生。ボイドの発生が製品の外観不良となり不良率を高めておりました。
ユーザーにて材料の乾燥など見直してみたが改善せず。金型表面改質処理後は、樹脂流れがスムーズになったことを活かし、充填量を増やし樹脂密度を上げることで不良率が大幅に改善いたしました。
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1.不二なら何とかしてくれる!金型処理の駆け込み寺
「半年前に知りたかった」これはある大手自動車部品メーカーの生産技術課長のお言葉。色々なコーティングや表面処理を半年間試してきたけれど、どうしてもうまくいかなかった成形が当社にご相談頂いたところ、すぐに問題が解決してしまった。
これが実現できるのは、60年以上の歴史を持つブラスト装置メーカーが行う金型表面改質処理であるからであり、お客様の望む多様な加工要望に答えられる高いブラスト装置開発力とそれを裏付けるブラスト処理の経験が他社と比較して圧倒的に多い事に他なりません。
前述の自動車部品メーカー以外にも、他でうまくいかなかった成形が当社の処理でうまくいったという事例は珍しいものではありません。
他社で「これは抜けないよ」、「うまくいった試しがない」と言われたその成形、不二製作所の処理なら簡単に対応可能かもしれません。困った時こそ、お声掛けください。
2.「あれも、これもして欲しい」にお答えできます
金型を磨いてほしい、その上で樹脂流れも、離型性も、金型の耐久性も、あれもこれもして欲しいという欲張りなお客様が増えています。他社では「そんなに何もかもは出来ません」なんてお断りされたとお聞きします。しかし、不二製作所ではそんな欲張りなお客様も大歓迎です。
金型をお預け頂ければ、常時ブラスト処理が可能な装置が300台以上あり、金型を磨く処理、型離れを良くする処理、耐久性を良くする処理、お客様のあれもこれもしてほしいというご要望に同時にお応えできる設備がそろっています。
3.受託加工可能な研磨材と金型サイズ
図面に研磨材の種類や粒度の指定があるが、今まで頼んでいた外注さんに「うちはアルミナかガラスビーズしか出来ない」、「微粉を噴射出来る装置が無い」、「そんな大きな金型受けれないよ」なんて言われたことはありませんか。
当社なら、常時100種類以上の研磨材在庫を完備し、研磨材粒度についてもF16~F8000までブラスト加工可能ですので、研磨材の種類、粒度共にほとんどのご要望にお応え可能です。また、受託加工可能な金型サイズについても、手のひらサイズから8トンクラスまでお受け可能です。
普段は内製加工だけど、特別な大型品だけ依頼したい、特殊な研磨材だけ依頼したいという単発加工のご依頼も承ります。
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