プラスチック成形の不良対策

「MKS処理® 及びGMT処理による樹脂流れと離型性(型離れ性)の向上」

※エジェクタピン(押し出しピン)の張り付きによる成形品の変形をMKS処理により改善


プラスチック成形で常に不良なく順調に成形することが出来れば大きなコストダウンと品質向上が実現出来るはずですが、現実には多くの生産現場でヒケ、ウェルドラインなどの樹脂流れに起因する問題やエジェクタピン(押し出しピン)痕のフクレ、樹脂の金型への張り付きによる反りなどの離型性(型離れ性)に起因する問題を解決するために、射出圧力や金型温度などの成形条件調整が日々行われております。

当社では多くの生産現場で課題となっている「樹脂流れに起因する問題」と「離型性に起因する問題」を解決すべく、エアーブラスト技術で金型表面改質を実現するMKS処理、そしてMKS処理を更に進化させたGMT処理を開発。当ページではMKS処理及びGMT処理の概要や成形性改善事例などについて詳しくご説明します。

MKS処理によるプラスチック成形の不良対策とは

MKS処理とは、エアーブラスト技術による成形問題解決のための多工程表面処理のことであり、この処理によって作り出されたナノ単位から数μmレベルの均一な凹凸が、流動樹脂と金型表面の接触面積を減らし、樹脂が冷えにくくスムーズな流れを実現する環境を作り出します。
また、方向性のある研磨目は樹脂が収縮の際に抵抗となるが、MKS処理後の無方向性に変更された均一な凸凹表面は前後左右への摺動性が向上し、樹脂収縮時の金型への張り付きを低減させ、離型性を向上させます。

樹脂流れの改善
POINT01
樹脂流れの改善

樹脂が流れやすい環境を作る

樹脂が冷えやすい 矢印 樹脂が冷えにくい
離型性の改善
POINT02
離型性の改善

樹脂の張り付きを低減

研磨面が残る 矢印 均一微細な凹凸

MKS処理による離型抵抗力の低減効果

● 抜き勾配ゼロで離型抵抗力が1/5に改善

離型抵抗力の低減効果 before

 

離型抵抗力の低減効果 after

 

実験金型構造及び測定方法

離型抵抗力の低減効果 before

[測定方法]
センサーにてストリッパープレートを
押出す力(≒離型抵抗力)を測定

[処理品] コアピン寸法 Φ30×L60mm
[成形品] POM ジュラコンM90-44
[サイズ] 成形品 Φ30×20H
[センサ] 水晶圧電式センサー
[協 力] 岩手大学金型技術研究センター

離型抵抗力(N)

未処理 66.26
MKS処理後 13.32
10203040506070 0
Ra
[μm]
Rz
(Rt,Ry)
Rq
[μm]
RDqRSkRKu
未処理
(研削加工)
0.1000.8690.1290.049-0.8544.030
MKS
処理後
0.0880.8880.1120.0510.0223.820

MKS処理による効果で解決可能な主な成形不良

ヒケ

ヒケ

成形品の肉厚部やリブ部に発生する表面の凹みのこと。表面と内部の不均一冷却による樹脂の収縮差が原因。ゲートシール前に充填樹脂量を増やすことが有効。

ボイド(気泡)

ボイド(気泡)

成形品の肉厚部分に発生する空洞。原因はヒケと同じ。表面に出来るのがヒケ、内部に出来るのがボイド。剛性の高い樹脂はヒケでなくボイドが出来やすい。

ウェルドライン

ウェルドライン

溶融樹脂の先端同士が合流する際に、樹脂温度が低くなり過ぎて、既に固化が始まっていることが原因。樹脂の合流部分にウェルドラインと呼ばれる線が残る。

ショートショット

ショートショット

金型内の一部に樹脂が充填されてない状態で冷却、固化した成形品。樹脂の流動性が悪く、金型内の末端まで届く前に冷却され固化しているのが原因。

フクレ、クラッキング

フクレ、クラッキング

成形品が固定側金型や稼働側金型に張り付いてエジェクタピンが成形品を突いて突起を作ったり、ヒビを入れてしまうこと。離型時の抵抗力が大きいことが原因。

反り、歪み

反り、歪み

平板状や箱型の成形品で発生する反り、曲がり、ねじれなどの変形。収縮時の金型への張り付きによる不均一な固化や射出成形時の圧力による残留応力が原因。

※上記で記載しているMKS処理の効果で解決可能な成形不良とその成形不良原因はあくまで主な一例であり、金型の設計、樹脂の種類、各種成形条件などに成形不良原因とその対策が必要な場合もあります。

エアーブラスト技術による金型やスクリューのクリーニング

当ページでは金型表面改質を実現するMKS処理及びGMT処理によるプラスチック成形の不良対策についてご紹介しておりますが、エアーブラスト技術は金型や射出成形機スクリューのクリーニングにも使用されております。

エアーブラスト技術による金型やスクリューのクリーニングは、ダメージレスで高効率であり、細溝やコーナー部のクリーニングも容易です。

GMT処理による透明度の高い成形と離型性改善の両立

GMT処理とは、離型剤を使わずに透明度の高い成形と離型性改善を両立させた金型表面処理です。右画像は、鏡面仕上げ金型で離型剤を塗布して成形した場合とGMT処理後の金型に離型剤を塗布せずに成形した場合の比較ですが、成形品の透明度は目視では判断できないレベルです。

GMT処理ならば毎回の離型剤塗布の手間とコストを無くしても、従来と同じ成形が出来ることから、透明度の高いプラスチック成形品の多い化粧品関連、医療器具関連などの成形の効率化、低コスト化手法として幅広くご利用頂いております。

材質:PC

技術ポイント

高透明度成形
鏡面仕上げ金型での成形品と同等の透明度を確保
離型剤不要
離型剤無しでの成形を実現し、コストダウンに貢献
外観変化無し
処理前後の外観は目視では判断出来ません
従来通りの成形
今まで通りの成形条件、タクトでの成形が可能です

光学的特性

PC材の成型品および鏡面平版の前線光線透過データ

シリウスZによる金型鏡面仕上げ・研磨加工

金型の鏡面仕上げ作業は手作業では大変難易度が高く、また時間もかかる作業のため、多くのお客様が熟練職人不足、磨き作業の効率化を課題とされております。

当社では手作業での磨きで課題となっていた熟練職人不足、磨き作業の効率化、作業者による磨き品質のバラツキを解決すべく、 3D形状、細溝、内径部への鏡面仕上げ・研磨加工が可能な「シリウスZ」を開発。下記リンクにてシリウスZならばどの様な加工物の鏡面仕上げ、研磨加工が可能なのかについて詳しく説明しております。

PC材の成型品および鏡面平版の前線光線透過データ

材質:NAK80

成形不良別改善事例

ヒケ

ヒケ未処理
ヒケ未処後

ポリプロピレン製で400×100×H80サイズのウォッシャータンク成形時にヒケが発生しておりました。MKS処理前は樹脂を充分に流し込む前に樹脂が冷えてしまい、ゲートシール(ゲート部での樹脂の固化)が発生し、それがヒケの原因となっておりましたが、MKS処理後は樹脂流れが改善しゲートシール前に充分な樹脂量を流し込めるようになり、同時に離型性も改善したためサイクルタイムを短くすることが可能になりました。


ショートショット

ショートショット未処理
ショートショット未処後

ポリカーボネイト製で800×200×H250サイズ、薄型湾曲形状の自動車部品成形品金型末端部分でショートショットが発生しておりました。射出圧力を上げると反りなどの別の問題が発生してしまうため、金型表面改質処理を実施。樹脂の流動性の改善によってキャビティー内の充填不足のみを解消し、他の問題の発生も抑えました。


ボイド(気泡)

ボイド(気泡)未処理
ボイド(気泡)未処後

ポリプロピレン製の半透明樹脂成形においてボイドが発生。ボイドの発生が製品の外観不良となり不良率を高めておりました。ユーザーにて材料の乾燥など見直してみたが改善せず。金型表面改質処理後は、樹脂流れがスムーズになったことを活かし、充填量を増やし樹脂密度を上げることで不良率が大幅に改善いたしました。


ブリッジ(しわ)

ブリッジ(しわ)未処理
ブリッジ(しわ)未処後

※真空成形(成型) 材質:PP

製品事例別改善事例

デジカメ部品

デジカメ部品

材質:エラストマー

MKSの効果

  • 4箇所のエジェクタピン跡が軽減
  • 樹脂流れの改善
  • 離型抵抗が減り反りの改善

電装品ボタン

電装品ボタン

材質:PC

MKSの効果

  • 樹脂流れの改善
  • 型抜け改善(型温90℃で成形するが、10回前後で反り、歪みが発生していた)
  • 中子への抱き付きがなくなった

携帯電話液晶枠

携帯電話液晶枠

材質:PC

MKSの効果

  • 反り、歪みが解消
  • 製品への梨地シボで外観向上
  • エジェクタピンのカジリ防止

建機用サイクロン

建機用サイクロン

材質:PP サイズ:φ185×H228mm

MKSの効果

  • 樹脂流れの改善
  • 中子への張り付き改善
  • 最大深さ87mmの深リブの抱き付きが改善し、量産が可能になった

携帯電話ケース

携帯電話ケース

材質:PC+ガラス繊維10%

MKSの効果

  • 樹脂流れの改善
  • 型抜けが改善されてスムーズに成形
  • 傾斜ピンにも処理し、カジリが改善

ボトルキャップ

ボトルキャップ

材質:PP

MKSの効果

  • ネジ部の型抜け改善
  • 反り、歪みの発生無し
  • 頻発していた成形トラブルが改善

PETボトル(プリフォーム)

PETボトル(プリフォーム)未処理

材質:PET

PETボトル(プリフォーム)未処後

 


MKS処理及びGMT処理の受託加工に関する良くあるご質問

当社に寄せられるMKS処理及びGMT処理に関するよくあるご質問と回答です。
こちらに記載の無いご質問に関しましては、お問い合わせフォーム または下記お電話にてお気軽にお問い合わせください。

テスト加工・受託加工に関するお問い合わせ >>

金型表面処理担当部門
TEL 03-3686-4811
Q処理前後での金型寸法はどのくらい変化するの?
A代表的な寸法変化としては数μm程度です。
Q最大加工ワークサイズは?
A重さ8トンまで処理可能です。詳細はご相談ください。
Qコーティングとは違うの?
A金型表面に微細な形状を形成することで機能付与します。コーティングとは異なり、膜形成する処理ではありません。
Q対応可能な成形材料は?
Aスーパーエンプラやガラス繊維強化樹脂など様々な樹脂材料に対応可能です。
Qどの様に依頼すればいいの?
Aサンプル加工やお打ち合わせ後、金型をお預かりして処理致します。詳細は金型表面処理担当までご相談ください。
Q受託加工の工場はどこにあるの?
A東京都江戸川区、茨城県稲敷市、愛知県小牧市の3エリアに受託加工が可能な工場があり、お近くの工場にて加工させて頂くことが可能です。詳しくはこちら >>