molybdenum disulfide treatment

二硫化モリブデンショット処理

用途・技術

※すべり軸受けへの二硫化モリブデンショット処理(奥:未加工、手前:処理後)

有意な寸法、形状、面粗度変化を伴わずにすべり性を劇的に向上させる表面処理技術

二硫化モリブデンショット処理は二硫化モリブデン微粉を処理対象表面に高速噴射し、衝突させることで処理対象の最表面に二硫化モリブデンの層を形成する処理方法のことです。この処理では有意な寸法、形状、面粗度変化を伴わずにすべり性を劇的に向上させることが可能です。

この二硫化モリブデンは卓越した低摩擦係数を持ち、自動車エンジン内などの過酷な環境下であっても優れた低摩擦効果を発揮する固体潤滑剤であり、この処理によってエンジンの出力、燃費が向上するため、燃費改善を主目的とした自動車用エンジンのピストン、すべり軸受け等に採用されています。

contents

features 二硫化モリブデンショット処理の特徴と効果

二硫化モリブデンショット処理は、噴射加工用に最適化された高純度の二硫化モリブデン(特許取得済み)を圧縮エアを用いて高速噴射し、処理対象面に衝突させるので、衝突時の瞬間的高発熱(マイクロ秒オーダ)※1により、処理対象の表層を軟化、溶融させ、表面から内部へ数マイクロメートル浸透(熱拡散)し、固体潤滑層を形成します。(※ 1資料出展:江上登「微粒子衝突時のショット速度と温度変化及びハイブリッド表面改質材の疲労強度特性」、「微粒子衝突表面改質研究会 第2回技術講演会 予稿集」)

このためコーティングに必須のバインダ(接着剤としての樹脂)が不要となり、二硫化モリブデンの低摩擦効果を最大限に発揮(図③参照)させることが出来る唯一の表面処理であり、コーティングとは異なる新たな固体潤滑剤定着技術です。

図①二硫化モリブデン(MoS2)の打ち込み状態
図②各種表面処理による摺動抵抗低減率の比較
図③処理前後のピストン外観
図④二硫化モリブデン(MoS2)粉
  • 資料出展図①~③荻原秀実:「内燃機関用ピストンスカート部への固体潤滑剤付与技術とその効果」、「微粒子衝突表面改質研究会 第4回技術講演会 予稿集」

内部へ浸透するため剥離の懸念が無く効果が持続する

アルミニウム合金などの低融点金属へ二硫化モリブデンショット処理を行うと、衝突時の瞬間的な高発熱によって加工対象物の表面、表層を軟化、溶融し、最表面から内部へ最大で約20μm浸透(熱拡散)させることが可能です。(実績として鉄系金属の場合、内部への拡散はなく、表層に2μm程度の被膜が形成されます)

熱拡散による固体潤滑層の形成は、コーティングのような剥離の懸念がなく、処理に伴う高発熱も既述の通りマイクロ秒オーダなので有意な寸法、形状変化もありません。

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