
髙木プラスチック様は、熱硬化性樹脂成形を専門とする企業として半世紀以上にわたり高品質な製品を提供し続けています。
自動車部品から測定器、船舶部品まで、幅広い分野で活躍する同社の最大の強みは、プラスチック成形一級技能士の資格を持つ熟練技術者による、豊富な知識と経験に基づく成形技術にあります。

- 社名
- 髙木プラスチック
- 本社
- 埼玉県比企郡吉見町大字長谷721-3
- WEBページ
- https://takagi-p.com/
- 事業概要
-
- 樹脂成形
- 熱硬化性樹脂
- 使用用途
-
- バリ取り
熱硬化性樹脂は耐熱性や絶縁性に優れている特性から、電子部品などに広く使用されています。熱可塑性樹脂とは異なり、熱硬化性樹脂の成形は温度管理や材料の投入タイミング、スピード、圧力の調整など、細やかな技術が求められます。同社はその職人技といえる成形技術を継承し続けており、射出成形(インジェクション成形)、圧縮成形(コンプレッション成形)、インサート成形に対応しています。
さらに、成形後の仕上げにも定評があり、お客様の多様なニーズに対応できる技術力を持っています。
今回取材にご協力いただいた
担当者様
-
プラスチック成形 一級技能士 職業訓練指導員
髙木様
1台で自動加工と手動加工を両立する
バレルカゴ型ニューマ・ブラスター
熱硬化性樹脂の成形は、金型内のガスを抜き、樹脂を隅々まで充填する過程で必ず「バリ」と呼ばれる余分な樹脂が発生します。バリが残ったままでは外観を損なうだけでなく、バリの脱落により製品に不具合が生じる可能性があるため、製品品質を確保する上で「バリ取り」は欠かせない重要な工程です。
従来、同社では主にヤスリや、ナイフを用いた手作業でバリ取りを行っていましたが、時間と労力がかかることや、バリの取り残しや傷のリスクが課題となっていました。また、デフラッシャーと呼ばれるバリ取り専用の自動ブラスト装置も併用していましたが、角のある製品では製品同士がぶつかることで傷が付いてしまうという問題もありました。
これらの課題を解決するために導入されたのが、不二製作所の「バレルカゴ型 ニューマ・ブラスター LD」です。この装置は、1台で自動加工と手動加工の両方に対応しているため、少量多品種の生産が多い同社のニーズに合致していたことが導入の決め手となりました。
自動加工では、製品をバレルカゴに入れ、固定ノズルから樹脂研磨材(硬度の低いメディア)を噴射することで、バッチ処理によるバリ取りを行います。バレルカゴはゆっくりと回転するため、軽量小物ワークであれば製品同士の接触による損傷はほとんど起きずにバリだけを除去することができます。また、バレルカゴを外すことで手動加工が可能になり、1つ1つの製品を個別に処理することもできます。

ニューマ・ブラスター導入で、
バリ取りの作業時間半減と安定品質を実現
従来のヤスリなどを使用した手作業では1個あたり1分以上かかっていたバリ取り作業が、ニューマ・ブラスターにより30秒以内に短縮され、1日の処理能力は約200個から、約500個の2倍以上に増加しました。
また、品質面でも大きな改善が見られました。手作業では避けられなかったバリの取り残しや傷の発生リスクが大幅に低下し、髙木様は「ニューマ・ブラスターを導入してから、バリ残りのクレームはゼロになりました」と語ります。ニューマ・ブラスターは研磨材(メディア)を風力で回収・分級することで一定粒度の研磨材を自動循環・再噴射します。これにより、作業者の熟練度に左右されない均一なバリ取りが可能になり、顧客満足度の向上にもつながっています。
さらに、ニューマ・ブラスターは作業環境に応じたカスタマイズ仕様の設計が可能なため、作業性の向上にも貢献しています。髙木様は「操作が簡単で使いやすく、作業がとても楽になった」と仰っており、身体への負担軽減も大きな効果として評価をいただきました。



信頼の技術で熱硬化性樹脂の需要に応え続ける
同社は、今後も熱硬化性樹脂成形に特化した事業を継続して様々な企業との取引の幅を広げていく方針です。同社は経営革新計画などの積極的な取り組みをして設備投資を進めながら、長年培ってきた技術力と高品質な製品を提供することでお客様のニーズに応え続けたいと考えています。
近年ものづくりの現場では、扱いやすくて種類が豊富な熱可塑性樹脂の使用が主流になりつつありますが、熱硬化性樹脂でしかできない製品や部品も多くあり、決してなくなることはありません。同社の技術力を活かした高品質な製品は、より一層重要性が増していくでしょう。
不二製作所のニューマ・ブラスターは、同社の高品質な製品づくりを支える要として今後も重要な役割を果たすことが期待されています。



※掲載情報は取材当時(2024年11月)のものです。
熱硬化性樹脂の特徴とブラストによるバリ取りについて
熱硬化性樹脂は、加熱によって化学反応を起こし硬化する特性を持つ樹脂です。一度硬化すると再加熱しても柔らかくならないため、高い耐熱性や寸法安定性を発揮します。この特性により、灰皿から電子部品まで、耐熱性や耐久性が求められる製品に広く使用されています。代表的な種類には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂などがあります。
一方で、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂に比べて成形サイクルが長く、金型の加熱や成形後のバリ取り作業が必要です。製品に欠陥や外観不良を防ぐために、成形中に発生するガスを適切に排出する技術が重要です。このガス排出の過程で、バリ(不要な突起)を意図的に発生させることも多く、成形後にはバリ取り作業が不可欠です。
そんな熱硬化性樹脂のバリ取りにもブラスト技術が有効であり、特にリードフレームの樹脂バリ取りにおいて活躍しています。ニューマ・ブラスターを使用することで、静電気や加工圧力による樹脂パッケージへのダメージを抑制し、フレーム自体も反りや歪みなく安定した加工を実現します。また、当社では、ドライブラストとウェットブラストの両方に対応しているため、様々な形状の製品に対応可能です。短冊形状のロット単位で処理を行う製品や、重量物である巻き取り式のフープ状の製品、厚みのある立体形状の製品など、製品の形状や搬入状態を問わずにご提案が可能です。
関連ページ:「バリ取り(樹脂・金属)」