CUSTOMER VOICE #09

春日井アルマイト工業有限会社様

ニューマ・ブラスターは均一加工で選ばれ続けて42年!アルマイト処理前の梨地加工で光学機器の高級感を演出

再現性の高い均一な梨地面を作り出す秘訣はメディア管理と自動ブラスト

春日井アルマイト工業有限会社様は、創業以来66期にわたりアルマイト処理を専門に手がける企業です。同社は光学機器や工作機械等の部品、半導体関係、センサー部品などの幅広い産業分野において高い評価と信頼を獲得し、現在は200社以上との取引実績を持ちます。

社名
春日井アルマイト工業有限会社
本社
長野県岡谷市大栄町2丁目2番6号
事業概要
  • アルマイト処理
使用用途
  • 梨地加工
  • 下地処理

同社の強みは、幅広い種類のアルミニウム素材にアルマイト処理を施すことができる技術力と、数量や受注地域を制限することなく処理を請け負う柔軟な対応力です。A2000系、ADC10、ADC12、AC類などの様々な材質での処理実績があり、鋳物やダイカスト製品への硬質アルマイト等、高度な技術を要するアルマイト処理にも対応可能です。青木工場長の「材質や部品の種類、大きさや数量を問わず、言われたものにはできる限り応えてきた」という言葉に同社の顧客第一主義の精神が表れています。

今回取材にご協力いただいた
担当者様

  • 取締役 営業部 部長

    横松 和樹様

  • 取締役 工場長

    青木様

エアーブラスト梨地が実現する
ハイグレードな黒アルマイト処理

同社が手がける多様なアルマイト処理において、製品外観の高級感を高めたい場合はアルマイト処理の前に製品表面を「梨地」に加工します。同社では、ビーズ状の研磨材を圧縮空気の力でぶつけることで物理的に表面を梨地にするブラスト処理(砂打ち)と、薬液によって表面を溶かして梨地にする化学梨地の2種の加工法を採用しています。
中でも、ハイエンドで意匠性が求められるようなカメラの交換レンズ部品や電子顕微鏡などの検査機器、測定機器などはエアーブラスト(サンドブラスト)による梨地加工をしてから黒色のアルマイト処理を施します。
エアーブラスト(サンドブラスト)による梨地加工は、製品表面の光の反射を抑えてほどよい光沢感に調整し、アルマイト処理をすることで上質な質感にして高級感を演出できます。また、化学梨地と比較して部分的な梨地加工が可能なため、一種類の製品の中でも通常の光沢面と光沢を抑えた面を使い分けることが可能です。

アルミニウム製品 風合いの違い

①未加工品
②エアーブラストによる梨地加工後
③黒色アルマイト処理後(梨地加工後+アルマイト処理)

量産品の均一な梨地加工にはニューマ・ブラスター

アルマイト処理の前にブラストで梨地に加工をする「砂打ち」の指定がある場合に、同社では不二製作所の「間欠回転テーブル型 ニューマ・ブラスター GT」が使用されています。
本装置における梨地加工の最大の特長は、1個目から100個目まで変わらない安定した品質です。青木工場長は「外観部品は風合いのばらつきが許されず、少しでも違いがあれば全数不良になってしまいます。ニューマ・ブラスターは砂調整の精度が高いので、品質管理が容易です」と評価しています。
この安定性は、ニューマ・ブラスターが持つ2つの重要な機能により実現されています。
1つ目は高精度な研磨材分級機能です。ブラストの衝撃で破砕したガラスビーズを分級し、噴射するメディア粒度を常に一定の状態に管理できるため、均一な梨地面の仕上がりを実現しています。
2つ目は自動回転テーブルによる均一加工です。大小2つのテーブルを組み合わせた親子テーブル方式により、大テーブルでワークを搬送し、小テーブルで加工時の回転を行います。これにより、各ワークに対して同一時間、同一条件での連続加工が可能となります。1個流し生産のため、金属の中でも柔らかいアルミニウム製品でも傷をつけずに加工でき、量産性を確保しつつ高品質な美観を実現することが可能です。
さらに、複数のブラストガンを最適に配置した同社専用のカスタマイズ設計により、製品形状や要求される仕上がりに応じて噴射箇所を細かく制御できる優れた作業性を実現しています。ニューマ・ブラスターは42年という長きにわたり同社の品質を支え続けており、青木工場長より「不具合もなく使いやすいので、更新時も変わらずニューマ・ブラスターを選びました」とその信頼性を評価いただきました。

間欠回転テーブル型 ニューマ・ブラスター GT
作業中の様子

装置正面の開口部に製品をセットした後に、ブラスト装置内に製品が搬送されて加工ポジションに到着すると、自動加工が開始されます。ブラスト加工が完了した製品は、搬送されてエアブローされた後に装置正面の開口部に戻ってきます。取り外してまた新たな製品をセットし連続加工をしていきます。

抗菌アルマイトと検査事業で目指す表面処理の新展開

春日井アルマイト工業様は、長年の経験に裏打ちされたアルマイト処理の技術を基盤に、時代の変化に即した技術革新と新規分野への挑戦を進めています。近年では、抗菌アルマイト技術の特許を取得し、社会ニーズに応える新しい表面処理技術の開発に取り組んでいます。さらに、多様な表面処理技術と新規に関連会社で開始した検査事業を組み合わせることで、より付加価値の高いサービスの提供を目指しています。
これまで県内企業との取引を中心としてきた同社ですが、確かな技術力を武器に、自動車関連産業など新たな分野を含めた全国展開も視野に入れています。横松営業部長の「業種業界にとらわれず、様々な分野に挑戦していきたい」という言葉には同社の飽くなき探求心と、さらなる高みを目指す確かな意志が感じられます。
不二製作所は高品質な表面処理技術の提供を通じて、同社の新たな価値創造への挑戦を支えていきたいと考えています。

手動アルマイト処理ライン
全自動アルマイト処理ライン
アルマイト処理製品

※掲載情報は取材当時(2025年3月)のものです。

この記事で活躍したニューマ・ブラスター

GT 間欠回転テーブル型

1個流し生産に対応した均一加工量産機

COLUM

ブラスト梨地による艶消しアルマイトとは?

アルマイト処理では、アルミニウム製品本来の光沢を生かした艶のある仕上げだけではなく、わずかな光沢感を残したままマットな質感を表現する艶消し(梨地)仕上げがあります。艶消しアルマイトやサテン仕上げなどとも呼ばれるこの表面は「梨地加工」を行うことで創出されます。
梨地加工には大きく2つの方法があります。特殊な薬品を用いる化学梨地と、ショットブラストやエアーブラストを用いるブラスト梨地です。中でも、エアーブラスト(サンドブラスト)は圧縮空気を利用して球状のメディアを高速で吹き付けることで、表面に微細なディンプル形状の凹凸を形成する方法です。ショットブラストと比較すると、使用するメディアの種類や圧力を幅広く調整することが可能なため風合い調整が容易で、均一で滑らかな梨地を形成することができます。この微細な凹凸がもたらす効果は、上質なマット感や高級感のある外観といった意匠性に加えて、アルマイト皮膜との密着性向上や、光の反射を抑え、反射光の影響を減らす防眩効果も得られます。そのため、特に光学機器分野において重要な技術として広く活用されています。
不二製作所ではエアーブラストに加え、研磨材と水を同時噴射するウェットブラストも提供が可能です。目的に応じた最適な加工方法で、多様な梨地面を実現します。
関連ページ:「梨地仕上げ」「ウェットブラスト

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